最終日の給食のデザートで,ハーゲンダッツを出す公立小学校があるらしい。皆様はどうお感じになるだろうか。「学校の給食はそこまで良くなったのか」「給食が楽しくなるからよいのではないか?」など,肯定的な意見も数多く聞こえてきそうである。ただ私は,甚だ疑問を感じずにはいられない。では,給食でハーゲンダッツを出すメリットとデメリットを検討したい。
メリット
・不登校の児童生徒が学校に来るきっかけとなる。
登校をしぶっている子供にとっては,給食のデザートがハーゲンダッツということは大きな後押しになるらしい。最終日の給食がハーゲンダッツであることは明言はされていないものの,子供も教員も知っている。実際,「明日はハーゲンダッツだってよ」「明日はハーゲンダッツだから学校に来てみようよ」などの声かけをする保護者や教員もいるらしい。この点では,給食のデザートがハーゲンダッツであることは一定の効果があると言える。
・給食の”マンネリ化”を”防ぐ
子供にとって,給食とはほぼ毎日食べるものであり,小学校であれば6年間食べ続けるものだ。「え!なんだろうこの料理は!?」という驚きは少ないはずだ。「僕が好きなカレーライスだ」「またオレンジか」といった声の方が多いだろう。それはシステム上仕方ない。だが栄養士としては,そういったマンネリ化は避けたいはずだ。だから,「最終日の給食は特別なもの」とすることで,イベント感を出したいのかもしれない。
デメリット(というか私が感じる疑問)
・公教育の場において,特定の会社の特定の商品を取り上げることは良いのか?
給食の献立などでは「アイス」とだけ書かれており,「ハーゲンダッツ」と書かれているわけではないようだ。ただ,特定の企業の特定の商品を公教育の場で提供することはどうなのだろうか。では、ヨーグルトなどはどうなのかと思われる方もいるだろう。パッケージに会社名などが書いてあるし,これも「特定の企業の特定の商品」と言われればそうである。ただ,同じメーカーの同じものをスーパーで買うことは難しい。給食で出るヨーグルトなどは普通のスーパーでは売っていないイメージがある。だが,ハーゲンダッツは,給食で出た味をそのまま買うことができる。給食で出たことで,おやつやご褒美としてスーパーで購入する保護者もいるだろう。これは,公教育が特定の商品の購入を後押ししたということにはならないだろうか。
・「ハーゲンダッツこそ素晴らしい」という価値観の植え付けになるのでは?
ハーゲンダッツはたしかに美味しい。特に恨みもない。だが,周りの大人達が「ハーゲンダッツは素晴らしい」という価値観であったら,子供の価値観も左右されないか?
かく言う私も,某少年漫画のキャラクターが好きなことを子供たちにも公言している。これも,そのキャラクターが素晴らしいという価値観の押しつけではないかと言われれば,そうである。ただ,影響力の大きさが違う。私に言われてその漫画を読み始める子供は少ないだろうが,ハーゲンダッツは実際に口にするのだ。そして,「これが美味しいアイスなんだ」「ママや先生がとくべつって言っているアイスなんだ」と学習する。極端な話だが,もし今後,別のアイスが給食で出てきても,「なーんだハーゲンダッツじゃないのか」「今日はフルーツポンチか。普通じゃん。残しちゃおう」と考える子供もいるだろう。歪んだ価値観の押しつけ・植えつけにつながるような気がしてならない。
さて,皆様はどうお感じになっただろうか。初めてのブログということでお手柔らかにお願いしたい。